運動の種類~有酸素運動・無酸素運動の違い~
運動の種類~有酸素運動・無酸素運動の違い~
体脂肪を燃やす「有酸素運動」
有酸素運動とは、運動負荷が比較的軽い動作を持続して行う運動のことです。
代表的な有酸素運動にはジョギングやウォーキング、水泳などがあります。
有酸素運動の特徴としては、まず、筋肉を動かすのに必要なエネルギー(ATP)を得るのに有酸素性エネルギー代謝を用いていることが挙げられます。
人間は運動をする際、ATPを大量に利用して筋肉を収縮させますが、その運動が瞬発力を要する運動か、持久力を要する運動かでATPの供給経路が異なります。
一般的に、ジョギングのような有酸素運動に分類される運動は瞬発力よりも持久力が必要です。
このため、ATPを素早く生成できるATP-CP系や解糖系ではなく、エネルギー供給量が大きい有酸素系という代謝経路でATPを生成します。
この代謝の過程では酸素を必要とするため、こうした運動を「有酸素運動」といいます。
有酸素運動で血糖値が下がる
有酸素系では細胞のミトコンドリア内にあるTCA回路(クエン酸回路)にブドウ糖や遊離脂肪酸(FFA)から生成された「アセチルCoA」が取り込まれ、最終的に電子伝達系で酸素と反応させることでATPが合成されます。
つまり、有酸素運動を行うと、筋肉にどんどんブドウ糖が取り込まれ血糖値が下がります。
血糖値が高い状態のままだと細胞の中にブドウ糖を取り込むインスリンというホルモンが過剰に分泌され、余った糖分を中性脂肪として体にためこんでしまうので、これはダイエットにおいて非常に嬉しい効果です。
また、遊離脂肪酸は、いわゆる体脂肪が分解されたものが血液中に放出されたものなので、さらにダイエットの効果が期待できます。
そのほか有酸素運動は内臓脂肪の減少による高血圧や高血糖、動脈硬化の予防・改善にもつながります。
有酸素運動で起こりえる筋肉の低下に注意!
ランニングやウォーキング、水泳などの有酸素運動は、ダイエット効果が高い、全身の筋肉がつくといったイメージがあるのではないでしょうか。
確かに身体に良い面も多いですが、やり方を間違えてしまうと、かえって筋力が低下してしまいます。
長時間有酸素運動を行うと、エネルギー源の糖質が不足し、脂質からエネルギーを生み出します。
このとき筋肉にあるアミノ酸も消費され、筋肉が分解されてしまうのです。
筋肉量が減少すると、基礎代謝が低下するため、カロリーの消費量が減って痩せにくくなってしまいます。
有酸素運動による筋力低下を防ぐためには、運動前にたんぱく質と炭水化物を取り入れるのがおすすめです。
エネルギーを補給しておくことによって、筋肉の分解を抑えることができます。
過度な食事制限も、有酸素運動による筋力低下に影響を及ぼすので注意が必要です。
栄養不足ではエネルギーが足りず、筋肉が分解されてしまうので、バランスの良い食事を心がけましょう。
また、有酸素運動と無酸素運動をバランス良く取り組むことも大切です。
有酸素運動には筋肉に大きな負荷を与える部分が少ないため、有酸素運動ばかりだと筋力は落ちやすくなります。
適度に筋力トレーニングを取り入れて、筋肉を維持するようにしましょう。
基礎代謝量を増やす「無酸素運動」
代表的な無酸素運動には筋トレや短距離走などがあります。
無酸素運動は有酸素運動と違い、瞬発力が必要なので、ATP-CP系や解糖系といった代謝経路でATPを素早く生成します。
ATP-CP系とは
ATP-CP系とは、筋肉に蓄えられているクレアチンリン酸という物質が、クレアチンとリン酸に分解されるときのエネルギーを使ってADP(アデノシン二リン酸)をATP(アデノシン三リン酸)に再合成する代謝方法です。
ATP-CP系は、解糖系や有酸素系に比べてATPを素早く生成できますが、反面、8秒ぐらいしか持続できません。
それよりも運動時間が延びると、今度は解糖系という代謝経路でATPをまかないます。
解糖系とは
筋肉に蓄えられたグリコーゲン(糖の一種)や血中のブドウ糖をピルビン酸まで分解し、その過程で生じるエネルギーを使ってATPを再合成する代謝方法です。
なお、ここで生成されたピルビン酸はアセチルCoAになってTCA回路に取り込まれるか、または乳酸に変換されて血中に放出され、他の筋肉や臓器のエネルギーになります。
ダンベル体操やスクワットなど、筋トレに代表される無酸素運動は、有酸素運動に比べて消費カロリーは低いものの、筋肉量を増やし基礎代謝を向上させる効果があり、「痩せやすく太りにくい体」をつくることができます。
ダイエットでは有酸素運動と無酸素運動の組み合わせがカギ
結論からいえば、短期間でダイエットを成功させるためには、ジョギングなどの有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動を組み合わせたトレーニングがおすすめです。
筋トレで筋肉量を増やしつつ有酸素運動に取り組めば、脂肪燃焼効果が期待できるうえ、消費カロリーもアップします。
どのトレーニングが自分に合っているのかは、体重を減らしたい、筋肉量を増やしたいなど、目標によっても異なりますが、2011年に発表された「Concurrent training: A meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises」という論文によると、筋トレとランニングを組み合わせた場合、最も体脂肪が減ったという結果が報告されています。